- ADV
- ドット
なつのさがしもの
“全編手描きドットで描く感動系のひと夏ADV。エロはおまけと割り切れ——抜き目当てなら回れ右だが、夏休みの物語として買うなら値段以上”
推せる点
- ストーリーが本体。エロ目的で買ったのに終盤で泣かされる感動系で、物語の見え方そのものが変わる仕掛けまで用意されている
- 全イベント・全エッチシーンが手描きドットアニメで進行。ゲームボーイ世代に刺さる懐かしい画面が夏の田舎の空気とよく合っていて、没入感が高い
- 釣り・虫取り・豊富なサブイベントと、探索するほど見つかる小ネタで「なんてことない夏休み」を過ごす体験そのものが作り込まれている
- 全編マウスのみの片手操作・回想部屋完備と、システム周りは同人ADVとして十分に親切
気になる点
- エロは明確におまけ。行為はあっさりめで実用性は弱く、読み物が主でエロは付け合わせという配分がはっきりしている
- ヒロインごとのシーン数に差があり、推し次第では物足りなさが残る
- 泣きゲー寄りの重めな展開が後半に控えており、ほのぼのズコバコな夏休みを期待して買うと面食らう
- BGMの音量バランスなど細部の粗さに処女作らしさが残る
夏休みの8月、叔母のいる田舎に遊びに来た少年・なつが、釣りや虫取りをしながら村のお姉さんたちと交流していく探索型ADV。サークル・ぺこげーすたじおの処女作ながら、DLsite 4.68・FANZA 4.66(29件)と両ストアで高評価が並ぶ。エロ目的で手を出したはずが、終わってみればストーリーの方に泣かされていた。逆に言えば、抜きゲーとしての期待値で買うと肩透かしを食う作品でもある。
抜き度 — 2 / 5
先に断っておくと、本作をエロ目的で買うべきではない。行為はあっさりしていて実用性に乏しく、読み物が主でエロは付け合わせ、という配分がはっきりしている。シーン内容は睡眠・お風呂・お姉さんに教えてもらう筆下ろし系など、おねショタらしい純愛・和姦一辺倒。NTRや凌辱は一切ない。ただし質の方向では見るべきものがあって、エッチシーンも含めた全編が手描きドットアニメで動く。ミニキャラもCGもよく動き、キャラごとにプレイのテーマ(クセ)が変わる作りなので、ドットのエロが好きならむしろここが本命になりうる。ドット絵の性癖があるなら+1して考えていい。
ゲーム性 — 4 / 5
本作の本体はこちら。昼間は田舎を歩き回って釣りや虫取り、夜はお姉さんたちとのイベント——という「なんてことない夏休み」のループが丁寧に作り込まれていて、行ける場所が少しずつ広がる探索の引きが強い。サブイベントが豊富でキャラの掛け合いも生き生きしており、気づけば夜が明けているくらいには没入させられる。そして評価を決定づけているのがストーリーで、ほのぼの夏休みものと思わせておいて、終盤で「ゲームであること」を活かした仕掛けとともに物語の見え方が変わる。詳細は伏せるが、攻略も何も見ずに一度通してほしい。もはや泣きゲーと呼んで差し支えない。傑作と持ち上げるにはボリュームも規模も同人サイズだが、この価格帯のADVとしては十分すぎる密度だ。
やりやすさ — 4 / 5
RPGツクールMV製ながら全編マウスのみの片手操作に対応。ゲームパートも難しい要素はなく、好感度を上げてイベントを回収していくだけなので詰まりどころは少ない。回想部屋も完備で見逃しにも対応できる。1日のサイクルがさくさく進むテンポも良い。減点要素は細部の粗さで、探索中とイベント中でBGMの音量バランスにムラがある、ヒロインによってシーン数に差がある、といった処女作らしい引っかかりは残る。致命的なストレスはない。
総評
「ちょっと懐かしい」をテーマに全編手描きドットで作られた、夏休みそのものをパッケージしたような一本。エロゲーとしての実用性は低く、抜き目的の購入なら素直に別を当たるべきだが、ひと夏の物語として見たときの満足度は定価2,200円を明確に上回る。派手さはなく、傑作と呼ぶには小さくまとまっているものの、遊び終わったあとに夏の終わりのような余韻が残るタイプの良作。ドット絵と感動系に少しでも反応するなら、セールを待たず手に取っていい。ネタバレを踏む前に遊ぶことだけは強く勧めておく。